理事長 福永ヒトミ
医療人材の慢性的な不足、地域偏在などが加速する中で、公平、公正、タイムリーな医療を提供をすることができる診療看護師(NP)の活動に関するエビデンスを「つくり」「伝え」て、社会を動かすことができる学会を目指してまいります。
診療看護師(NP)は、チーム医療のキーパーソンとして、①医師や他の医療者と連携・協働し、②患者さんの健康上および生活上のニーズを包括的に評価し、③科学的根拠に基づき、個々の患者さんに必要とされる医療サービスを提供することにより症状マネジメントを効果的、効率的、タイムリーに実施し、患者さんたちのQOLの向上に寄与することを目指しています。本学会では、会員相互の交流等を通して、人口減少、超高齢化社会を迎えた日本のヘルスケアシステムにおいて診療看護師(NP)の役割を的確に発揮できるように診療看護師(NP)の質向上に向けた活動を進めてまいります。
2008年に大分県立看護科学大学大学院修士課程に「NP養成課程」が創設されて以来15年が経過した今、日本NP教育大学院協議会の資格認定を受けた診療看護師(NP)は、759名(2023年3月)になり、全国各地の病院やクリニック、介護老人保健施設、訪問看護ステーションなどの医療現場で活躍しております。最近では、限界地域の高齢な住民に医療を提供するために、診療看護師(NP)が乗車した医療MaaS(移動回診車)の事業なども進められており、地域医療、在宅医療を担う診療看護師(NP)の活動も期待されています。しかし、診療看護師(NP)はまだ国家資格化されておりません。国家資格化のためには活動実績を、社会に明示していく必要があります。そのため、日本看護協会や日本看護系大学院協議会、日本NP教育大学院協議会、本学会から代表者が参加し、「ナース・プラクテョナー(仮称)制度検討委員会」が開催され国家資格化に向けた検討が進められております。検討会には、診療看護師(NP)が参加し、自らの経験を積極的に発言しております。
日本NP学会も創設以来10年が経過しました。学会としての組織力を強化し、学会活動をさらに活発にしていく取り組みを進めております。その一例として、地方会を4ブロックから7ブロックとし、地方会の会則及び実施細則の改定作業を進めております。また、2024年度は理事等の役員選挙の年ですので、選挙等各種規則検討委員会を設置し準備しております。
日本NP学会は、日本NP教育大学院協議会と連携を図り、日本における国家資格として認められるナース・プラクテョナー誕生に向けて、日々の活動実績をEvidenceとして創出、発出し国民の皆様の認知度、理解を広げていけるよう努力してまいります。また、国際学会との交流や連携を拡大していきたいと思っております。今後とも、日本NP学会の活動に対するご理解・ご協力をお願い申し上げます。
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